1. 地震保険制度
火災や交通事故とは異なり、地震はいつどこで発生するか統計的には把握し難く、ひとたび発生すると巨額の損害となる恐れがあります。そのことから、そもそも民間ベースの保険制度には馴染まないのですが、世界有数の地震国といわれる日本において、地震災害による被災者を救済する保険制度が必要とされる中、保険支払をバックアップすることや補償内容で一定の制限を設けることで、昭和41年に政府と民間の保険会社が共同で運営する地震保険制度が創設するに至りました。
2. 地震保険の必要性
1)地震災害による経済的な備え
地震保険 近年10年間で発生したマグニチュード6以上の地震のおよそ20%が日本周辺で発生しています。 日本で暮らす限り、地震災害を避けて通ることはできないといえます。 国の被災者生活再建支援制度など災害時の公的な支援制度がありますが、 最高300万円の支給など最低限の支援に限られているため、 地震保険など自助の備えが重要となります。 国としても地震保険加入を税制面でもバックアップする観点から、 2007年より地震保険料控除を創設しています。
2)火災保険では地震による損害は補償されない
火災保険は、火災等により建物や家財に生じた損害を補償しています。 しかし、地震による火災の損害や倒壊などは火災保険の対象としていません。 大地震発生時には、通常よりも火災発生件数が増加するだけでなく、 消防能力の低下などによる焼失面積が著しく大きいものとなるため、火災保険の対象としておらず、 地震による倒壊等の損害も含め、地震保険で補償されることとなります。 このため、地震などによる火災や倒壊などの損害に備えるためには、地震保険に加入する必要があります。
3. 地震保険の補償内容
1)保険金が支払われる場合
地震等を直接または間接の原因とする火災、損壊、埋没、流失によって、保険の対象に生じた損害に対して、損害の程度が「全損」「大半損」「小半損」「一部損」となった場合に、保険金が支払われます。したがって、損害の程度が「一部損」に至らない場合は、保険金は支払われません。なお、火災保険では、地震等による火災(延焼・拡大を含みます)によって生じた損害をはじめ、火災の発生原因を問わず地震等で延焼・拡大した損害については、保険金は支払われません。※地震等が生じた後における自己の拡大防止または緊急避難に必要な処置によって、保険の対象について生じた損害についても、火災保険では保険金は支払われません。地震保険 地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流出によって、 保険の対象である建物や家財に生じた損害を補償するもので「全損」「半損」または「一部損」 となった場合に保険金が支払われます。 なお、地震などの際における紛失・盗難等は保険金が支払われません。
2)保険金の支払額
地震保険では、火災保険のように実際の損害額をもとに保険金が支払われるのではなく、損害の程度を4区分(全損・大半損・小半損・一部損)に分類し、保険金額に各々一定の率を乗じた額が保険金として支払われます。これは、大地震が発生した場合でも、短期間に大量の損害調査を行い、迅速かつ公正に保険金を支払う必要があるためです。
損害の程度 | 支払保険金 |
---|---|
全損 | 契約金額の100%(時価が限度) |
大半損 | 契約金額の60%(時価の60%が限度) |
小半損 | 契約金額の30%(時価の30%が限度) |
一部損 | 契約金額の5%(時価の5%が限度) |
(注)上記の損害区分は、保険期間が2017(平成29)年1月1日以降に始まる契約に適用されます。なお、保険期間が2016(平成28)年12月31日以前に始まる契約の損害区分は、次のとおり3区分です。
損害の程度 | 支払保険金 |
---|---|
全損 | 契約金額の100%(時価が限度) |
半損 | 契約金額の50%(時価の50%が限度) |
一部損 | 契約金額の5%(時価の5%が限度) |
4. 地震保険に加入するには
1)火災保険+地震保険
地震保険は、 単独では契約できません。 火災保険にセットして契約する必要があります。現在ご契約の火災保険に地震保険をセットしていない場合、火災保険の契約期間の中途でも地震保険を契約 することができます。
2)対象となるもの
建物 ※住居のみに使用される建物および併用住宅
家財 ※30万円を超える貴金属・宝石などは含まれません。
契約金額
火災保険の契約金額の30%~50%の範囲内
契約金額の限度額
建物:5,000万円
家財:1,000万円
※専用店舗・事務所などの建物およびその建物に収容される動産は対象となりません。
都道府県/構造区分 | イ構造 | ロ構造 | ロ構造(経過措置適用) | ||||||
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改定前 保険料 |
改定後 保険料 |
引上げ・ 引下げ率 | 改定前 保険料 |
改定後 保険料 |
引上げ・ 引下げ率 | 改定前 保険料 |
改定後 保険料 |
引上げ・ 引下げ率 | |
岩手県、秋田県、山形県、栃木県、 群馬県、富山県、石川県、福井県、 長野県、滋賀県、鳥取県、島根県、 岡山県、広島県、山口県、福岡県、 佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県 | 7,100円 | 7,400円 |
+4.2% |
11,600円 | 12,300円 | +6.0% | 9,200円 | 12,300円 | +33.7% |
福島県 | 8,500円 | 9,700円 | +14.1% | 17,000円 | 19,500円 | +14.7% | 11,000円 | 12,600円 | +14.5% |
北海道、青森県、新潟県、岐阜県、 京都府、兵庫県、奈良県 | 7,800円 | 7,400円 | ▲5.1% | 13,500円 | 12,300円 | ▲8.9% | 10,100円 | 12,300円 | +21.8% |
宮城県、山梨県、香川県、大分県、 宮崎県、沖縄県 | 10,700円 | 11,800円 |
+10.3% |
19,700円 | 21,200円 | +7.6% | 13,900円 | 16,300円 | +17.3% |
愛媛県 | 12,000円 | 11,800円 | ▲1.7% | 22,400円 | 21,200円 | ▲5.4% | 15,600円 | 21,200円 | +35.9% |
大阪府 | 12,600円 | 11,800円 | ▲6.3% | 22,400円 | 21,200円 | ▲5.4% | 16,300円 | 21,200円 | +30.1% |
茨城県 | 15,500円 | 17,700円 | +14.2% | 32,000円 | 36,600円 | +14.4% | 20,100円 | 22,900円 | +13.9% |
徳島県、高知県 | 15,500円 | 17,700円 | +14.2% | 36,500円 | 41,800円 | +14.5% | 20,100円 | 22,900円 | +13.9% |
埼玉県 | 17,800円 | 20,400円 | +14.6% | 32,000円 | 36,600円 | +14.4% | 23,100円 | 26,400円 | +14.3% |
愛知県、三重県、和歌山県 | 14,400円 | 11,800円 | ▲18.1% | 24,700円 | 21,200円 | ▲14.2% | 18,700円 | 21,200円 | +13.4% |
千葉県、東京都、神奈川県、静岡県 | 25,000円 | 27,500円 | +10.0% | 38,900円 | 42,200円 | +8.5% | 32,500円 | 39,300円 | +20.9% |
5. 地震保険の割引制度
地震保険には、建物の免震・耐震性能に応じた保険料の割引制度があります。割引の適用に当たっては、所定の確認資料のご提出が必要です。なお、以下の複数の割引が適用できる場合でも、いずれか1つの割引のみ適用となります。
割引の種類 | 割引の適用条件 | 割引率 |
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免震建築物割引 | 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく免震建築物である場合 | 50% |
耐震等級割引 | 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく耐震等級(構造躯体の倒壊など防止)または国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級(構造躯体)の評価指針」に基づく耐震等級を有している場合 | 10%・30%・50% |
耐震診断割引 | 地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、改正建築基準法(昭和56年6月1日施工)における耐震基準を満たす場合 | 10% |
建築年割引 | 昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合 | 10% |